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月琴~つきのこと~

第2章 第一話【宵の月】 二

 治助の想いの籠もった言葉に、小文は幾度も頷いた。
「私も考えたわ。すべてのものを棄てて、皆を嘆き哀しませることになっても良いのかと―。だけど、諦めきれなかった。たとえ、茨の道であろうとも、あなたと共に歩いていきたいと思った」
 小文と治助の視線が熱く絡み合った。
 小文が涙の滲んだ眼で治助を見つめる。

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