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月琴~つきのこと~

第2章 第一話【宵の月】 二

 小文はそのまま屋敷の奥まった一室に軟禁された。身の回りの世話は、女中のおさよ一人がすることになり、おさよ以外の部屋への出入りは一切禁じられた。
 だが、そのことは小文にとっては幸いだった。おさよは初めて治助と逢った夜も、治助への取り次ぎを務めたのだ。ましてや、おさよは良人磯吉と自分の仲を取り持った恩人として小文に全面的な好意と信頼を寄せている。

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