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ツインズ・ラブ

第13章  LikeとLoveの境目(Side司)

 2階に上がり、着替えなどをバックに詰めていると、いきなり後ろから抱きしめられた。
「葉月、離して。準備が出来ないから」
 顔を見なくても、誰がこんなことをするのか、僕には分かっていた。今、この部屋には、僕と葉月しかいない。
 何も言わずに葉月は僕を強く抱きしめた。
「葉月」
 もう一度葉月の名前を呼ぶ。
 葉月は僕を抱きしめたまま、僕にきいてきた。
「司、今日何もなかった?」
「どういう意味?」
「神田と2人で寮に帰ってきたって聞いた。あいつと何もなかった?」
「何もないよ。ただ生徒会室で仕事していただけだから」
「心配なんだ」
 抱きしめる力が強くなる。
「司を誰にもとられたくない」
 僕はものじゃないぞ。
 心の中でつぶやく。
「俺のだ」
 本気がこもった言葉だった。
 最近感じる葉月の本気。
 可愛い弟というよりも、獲物を狙う男の雰囲気を感じて、怖い。
 

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