テキストサイズ

ツインズ・ラブ

第18章 想いの人(Side神田)

何分くらい、そうしていたんだろう。多分、5分くらいだったと思う。
 田中先生が顔を上げた。
「神田、ありがとう。もう、落ち着いたから」
 そういった田中先生には、こうなった原因を軽い気持ちでは聞けない雰囲気があった。
 目を真っ赤にしながら、じっと俺を見つめるその目がこれ以上は聞くなと主張している。
「・・・・・・」
 無言で見つめ返すと、その視線をそらされた。
「もうそろそろ離してくれないか」
 そう言われたが、離す気になれない。
 離すどころか、反対に田中先生を抱きしめる力を強めた。
「神田」
 少しいらっとしたような口調で言われたが、それを無視する。
 

ストーリーメニュー

TOPTOPへ