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ツインズ・ラブ

第25章  嵐の後に(Side葉月)

 その通りだ。
「ごめん」
 でも、これ以上は続けられない。
「ひどいよ、葉月。一方的すぎる」
 とうとう、泣かせてしまった。
 智則を傷つけたくないのに。
「ひどい、男だよな」
 抱きしめたり、優しい言葉を掛けたりするのは簡単だけど。
 俺の腕はもう、あいつだけのものだから。
「智則の気持ちを全く考えずに、一方的に別れを告げた。智則は全く悪くないのに。自分の都合だけで、切り捨てた」
 司に、他に目を向けないって約束したから。
「実はね、智則。俺は、智則のこと、綺麗だと思っていた事も、可愛いなと思っていたことも本当だけど」
 抱きながら、何度も綺麗だ、可愛いと囁いた。
「だから、その言葉は何度も智則に告げていたけど」
 でも、肝心な言葉は一度も言わなかっただろ?
「好きだとは一度も言えなかった」
 いや、言わなかっただけだ。
 別れるときのために。

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