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ツインズ・ラブ

第25章  嵐の後に(Side葉月)

 その瞬間。
 パーン
 乾いた音がした。
 頬が痛い。
「ちがうよね」
 怒りのあまり、智則の頬が紅潮している。
「言えなかったんじゃなくて、言わなかったんでしょ」
 見え透いたウソ。
 バレて当然な言い方をした。
 これ以上、智則が俺に思いを残さないように。
 嫌われるように。
「・・・・・・」
 無言で返すと、
「何も言い返さないの?本当のことだから?」
 智則の大きな瞳から涙がこぼれ落ちる。
「ほんと、嫌になる」
 ひっく・・・。
 肩をふるわせる智則につい、手をかしたくなる・・・。
「こんな、ひどいことされているのに、葉月のことが好きな自分が嫌・・・」
 智則の容姿は、俺のストライクゾーンだ。泣いた顔もそそられる。でも、手をさしのべるべきじゃない。俺は、智則から離れるべきなのだから。

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