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ツインズ・ラブ

第25章  嵐の後に(Side葉月)

「智則なら、俺とは比べものにならないくらい良い奴を見つけられるよ」
 陳腐な言葉だ。
「今時のドラマでもそんな台詞ないよ」
「そうかもしれないけど、これは俺の本心だから」
 傷つけることしかできなかったけど。
「智則には幸せになって欲しい」
「葉月よりも好きになれる人、見つけられると思う?」
「ああ」
 芸能人じゃなくても。
 男でも。女でも良いから。
「ほんと、最後の最後まで最低」
 最後の望みのキスすら断る男。
 自分が散々傷つけておいて、幸せになって欲しいなんて、無責任な言葉を平気でいう男。
 最低だと言われることしかしていない。
 俺は、涙がとまらない智則を慰める言葉をかけるべきじゃない。
 俺は、最低な男のままでいいんだから。
 そんな最低な男。
 早く、忘れてくれ。
 智則には、幸せになって欲しい。司とは別の次元で、智則のことは好きだった。
 浮気するつもりはないけど。
 泣いている智則を置いて、学校に帰れないほどには愛着がある。

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