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「あのときの俺は、あいつの思いの重さがわからなかった。ただ裏切られた。それしかなかったんだ。でも・・、今は少し分かる気がする。あんな手段しかとれなかったあいつを今でも憎む気持ちはあるけど。俺も同じ人種だと気がついたからだと思う」
　よく分からないけど、信じていた親友に神田君は裏切られた経験があって、あんな風に人を寄せ付けないようになっていたって事？
　でも、それと僕の監視役を断るのと何がどう関係があるの？
「俺さ、最近司を見ているとどうしようもない衝動に駆られることがあるんだ」
　衝動って何の？
　いらいらするって事？
「淡泊なほうだと思っていたのに、全然おさまらないんだ」
　神田君は自嘲しながら、僕を見つめる。何となく、視線が熱い。
　でも、僕には神田君がそんな視線をする理由が全くわからない。