あなたの執事
第66章 専属の執事
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カチャ…
私は執事室に入ると、龍さんを探した
あ…いた
窓際の奥の席で何やら書物をしているらしく、静かに近づいた
「……龍さん」
龍さんの手がピタリと止まり私を見上げる
「ああ、シンか。おはよう。
どうした?」
「あの…ゆい様と私のこと旦那様から聞きました。
麗華様と龍さんが掛け合ってくれたと…」
龍さんはフッと笑みを浮かべ
「全ては麗華様の提案だ。
俺は何もしてないよ」
龍さん…
「良かったじゃないか。
ゆいの専属になれて。」
「ですが…龍さんは本当によろしいのですか?」
「…なにが?」
「……龍さんはずっとゆい様のことを見てこられて…
本当は龍さんだってゆい様の専属にっ」
「シン。
俺は昔から麗華様の専属になるって決まってたんだ。
俺もそのつもりでいままで執事として教育を受けて、麗華様に相応しくなれるよう努力してきた。
もちろんそれは、ゆいがどう…とかで変わるような薄っぺらい覚悟じゃない。」