あなたの執事
第66章 専属の執事
私は龍さんが出て行った扉を見つめてしばらく立っていた
『…ゆいが好きになった奴が、シンで本当に良かったよ』
私の横を通りすぎる時に龍さんが発した言葉
龍さんの想いは薄れていないのに…ゆい様の幸せを願って…
自分が長年愛してきた人から身を引いてライバルに渡すなんて…
簡単な覚悟じゃ早々出来ることじゃない
私だったら絶対出来ないことだ
それだけで龍さんのどんだけ強い覚悟なのかはっきりとわかる
そしてゆい様に対する愛の深さも…
「真面目なのは…龍さんも…じゃないですか」
そこにはもういない龍さんに向かって私は深く深くお辞儀をした