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ねぇ、麻弘…

第6章 いよいよ、お別れの時

お通夜も無事終わり、告別式の前に、父親の無理なお願いで、霊柩車で、麻弘が生前通っていた北大へ、麻弘の棺を乗せたまま向かってもらった。

父親は、胸にしっかりと麻弘の遺影を抱いている。

北大の正門からなんとか霊柩車の通行を許され、工学部の校舎に停車した。

「なあ、麻弘……、見えているか? ここがお前が通った工学部だ……」

ほんの数分停車した後、ファン…とクラクションを鳴らして、再び霊柩車は走り出した。

「他に寄りたい所はありますか?」

ルームミラー越しに、運転手が聞いてきた。

この際だから、このまま思い出の場所を寄るというのだろう。

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