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ねぇ、麻弘…

第6章 いよいよ、お別れの時

「みぃ、他の人の迷惑を考えな!」

女の子の母親が腕を掴んで棺から引き離そうとしても、また、棺にしがみついてしまう。

「かわち…、海行きたいいいいい! こんなの嫌だああああ!」

「いい加減にしてくれる? 寂しいのわかるけど、もう時間だから」

強引に泣きわめく女の子を引き離したのは、母方の叔母さんだった。

「本当に最後ですよ? 伝えたい事はもうないですか?」

葬儀屋は最期の別れがない事を確認すると、棺を軽く釘打ちした。

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