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5つの恋のカタチ

第1章 差出人不明のタロットカードが届く時 連続殺人の幕がひらく

あたし、青野 彩花(アオノ アヤカ)


その当時はまだ高校生だった。


いつもどうりに部活を終えて、
いつもどうりに帰宅した。

その日、家の鍵が閉まっていて、一瞬あたしは違和感を覚えた。

こんなことは今までなかったし、母は専業主婦だから。


疑問に思いながらもあたしはインターホンを押した。


応答は無かった。

何度押しても出てくる気配はない。

あたしがインターホンを押すのをやめた時だったと思う。

-ピリリリリ


ケータイが鳴った。

無性に不安が込み上げてくる。

どこからくるのか分からない不安感。

あたしはケータイを確認する。



母だった。

安心してあたしはケータイに出る。








刺された。

さされた。

ササレタ。


言葉の意味が分からない。

電話の向こうの声は母じゃない。

ただ、大きな声で病院に来るよう、言われた。






通り魔殺人だった。

犯人は未成年。

あたしと同じ、高校生だった。

買い物に出ていた母を。

犯人は真っ正面から。

左胸を。



なぜ母が殺されなければならないのか。

母は、あたしは何かしただろうか。

殺されるほどの何か。



シングルマザーとしてあたしを育ててくれた母。

突然あたしは一人になった。







そんなあたしの弁護士となってくれたのが、

『天使の弁護士』

成瀬領だった。



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