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ふわふわ堕天使のスルメイカ

第23章 St.Xmas

「拓ちゃんは顔でしか選んで貰えなかった。

そう言ったよね?」


「………。」


「でも、それって本当なのかな?」


「え……?」


「それって、拓ちゃんに寄って来た女の人全員が本当に拓ちゃんの顔だけ見てたのかな?」


拓ちゃんは確かにイケメンだと思う。

私の出逢い方が少し変だっただけで。

雪の中蹲ってゴミの前で泣いてる人、そりゃ変な目で見ちゃうよ…。

だけど、動物病院でじっくり見た時、私もきっと他の女性達と同じ反応だったと思う。



「私も、拓ちゃんの性格を知る前に“カッコいい”そう思ったよ?」


学生じゃない。

同じ職場じゃない。

そんな中、起こる“偶然の出逢い”。



「最初はやっぱり“顔”や雰囲気から入るんじゃないかな……」



“第一印象”。


やっぱり、最初の入り方はこれからだと思う。

世の中に“一目惚れ”という言葉があるように。



「私の場合は神が居たから。
だから拓ちゃんの優しさを真っ先に見る事が出来た。

雪の日に濡れた瀕死状態子犬を抱いて、その子犬のために涙を流せる人はそうそう居ないと思うもん。」


だけど、そんな状態に出逢える人なんてわずかに等しいと思う。



「だから、みんな拓ちゃんの事、拓ちゃんは嫌だろうけど“顔”から入ると思う。

ううん。

入らざるを得ないと、私は思う」



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