夢見るシンデレラ。
第3章 *魔法使い...
『盗み聞きなんて、さすが育ちの悪い方は趣味も悪いのね。』
「・・・・・」
『あなた、何か勘違いされてないかしら?』
「・・勘違い?」
『世話すれば、湊の気が惹けるとでもお思い?』
震える足を必死に床に張りつけて、負けじと鋭い目で睨みつける
ここまでくれば庶民の意地だった
「申し上げますが、お宅のお坊ちゃん、人間性に少々問題があるのでは?
勘違いされてるようなのでお伝えしますが、私お金なんて一銭も欲しくありません。
あんな常識知らずの男に惚れるとでも?私、相手がまともな男かどうかぐらい見極められます。ご心配どうも。」
軽く頭を下げると、部屋に戻ろうと一歩踏み出した瞬間ー・・・
『湊は婚約してるの。
明日、相手のご両親とお食事するのよ。
あなたも、もちろん使用人として同席してくれるわよね?』
冷たく、重い言葉が背中に突きつけられた
どうして・・・?
あんな奴どうでもいいのに・・・
興味無いのに・・・・
止まった足が動かない。
『都合でも悪いかしら?』
悔しかった
常に自分以外の人間を見下した態度が許せなかった
「喜んで同席させていただきます。」
あいつが婚約しようが関係ない。
私の彼氏でもなんでもないんだから。