夢見るシンデレラ。
第3章 *魔法使い...
『美月ちゃん、美月ちゃん!』
「ーー?」
『やっと見つけた!!』
社長の部屋の掃除をしようと屋敷の中を歩いてたら、後ろから小走りする足音と同時に明るい声が聞こえてきた。
振り返れば、満面の笑みの百華ちゃんー・・・
『美月ちゃん、湊のお手伝いさんなんでしょ?』
「え・・、
あ、うん。」
『じゃあ、湊と私のこと知ってたの?』
婚約者がいることは知らされてた。
だけど、その相手が、百華だということは今さっき初めて知った。
「ううん。
社長とはプライベートのことは何も話さないから・・・」
『そっか・・。
でもこれからは美月ちゃんにも会えんだよね?私、結婚なんてまだ早いって思ってたけど、美月ちゃんがいてくれるから嬉しいの!』
「私なんて、ただの使用人だから・・。
でも、良かったね。二人ともお似合いだよ。」
『本当?』
顔の前に手を合わせて笑ってる彼女は本当に嬉しそうで、これぞ女の子っていう仕草に少しだけ羨ましくなった。
「あ、ごめんね。
これから掃除に行かないと・・」
『そっか、そうだよね。』
心から残念そうにする表情に後ろ髪が引かれる。
『あっ、美月ちゃん!
結婚式呼んだら来てくれる?』
止めた足が動かない
振り向くなー・・・
いや、振り向かなきゃー・・・
「予定が空いてればね。
でも、ありがとう。」
ねぇ、私、笑えてたかなー・・・