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夢見るシンデレラ。

第3章 *魔法使い...





「・・・っ、」















少しずつ目を開けると、真っ白の天井が見えて、保健室のような独特の匂いが嗅覚を刺激した。














「・・?」














横を見ると、丸椅子に座りながらうたた寝をしてる湊に気が付いた。






体を起こそうとすると、擦れた布団の音で目を覚ました湊が顔を上げた。














「・・美月・・、」



「社長・・・私・・・」



「良かった・・・



まじ良かった・・・」













頭を抱えながら大きな溜め息をついた社長の様子を見れば、パパのところには行けなかったんだとわかった。















「大丈夫か?」



「・・うん・・・」



「なんで過呼吸なんかに・・・」



「夢、見たの。」



「・・夢?」















天井を見つめながら静かに呟く美月















「パパが死んじゃった日の夢」



「・・・・」



「痛かったのかなとか、最期は何を思ってたんだろうなとか・・・



そんなこと考えてたら急に苦しくなってきちゃって・・・」














目尻から流れた涙がこめかみを伝って枕を濡らす。













「パパに逢いたい・・・」














大量の涙が流れ出て、布団を口元まで上げた。






今まで張ってた気が、プツンと音をたてて途切れたようだった。


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