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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第4章 第一話【空の記憶】~真実~ 

 波の音が繰り返す。
 海風がかすかに潮の香を運んでくる。
 白い鳥がゆっくりと二人の頭上をかすめてゆく。
 静かすぎるほどの海辺で、幸はそっと亮平に抱き寄せられ、その逞しい胸に顔を埋(うず)めた。
 これからは、この男の傍が自分の居場所となるだろう。他人(ひと)は世間を知らぬ小娘の甘えだと笑うかもしれない。

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