テキストサイズ

空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第2章 第一話【空の記憶】~運命の嵐~

 そのことは、幸にとっては幸運であったといえよう。この年、幸は都市(まち)の女学校に入学して既に二年めを迎えようとしていた。親許を離れて初めての冬季休暇を実家で過ごし、再び女学校の寄宿舎に戻るべく港を出立したのがつい昨日のことである。船は途中で幾つかの主だった港に立ち寄り、人や荷物を積み降ろした後、二日かけて航海を続け明日の昼過ぎには最終寄港地に到着する予定だった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ