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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第5章 第二話 【めざめ】 旅立ち

 実のところ、幸は男女の拘わりについてなど何も知らないのだ。だから、余計に亮平に触れられると、恐怖心が増す。今夜も寝衣を脱がされ、身体のあちこちをまさぐられただけで、はや気を失いそうなほどの恐怖に震えているのだ。
「それとも、幸は俺が身分違いだからと侮っているのか?」
 思いもかけない言葉であった。幸は唇を噛みしめ、懸命に涙を押さえた。亮平は低い声で続けた。

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