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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第5章 第二話 【めざめ】 旅立ち

「寝る前、お前が刺繍をしているのを見て、俺は幸が違う世界に住んでいる人間なんだとつくづく思ったよ。俺なんて小学校しか出てないから、難しいことはまるで駄目だ。だが、お前は違う。女ながらも上の学校へ進んで、俺なんか知らないようなこともたくさん知ってる。どうせ俺はお貴族さまのお嬢さまの相手には不足だってことだろうな」
 最後の台詞は自嘲めいた響きが込められていた。

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