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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第6章 第二話 【めざめ】 再会

 残酷すぎる現実を知り、幸はどこをどのようにして歩いて帰ったのか、判らない。途中、危うく馬車に撥ねられそうになり、御者台ににいた男に「馬鹿野郎、死にてぇのか」と大声で罵倒されたことだけは記憶している。気が付けば、工場の宿舎の部屋にいて、すすり泣いていた。宿舎の部屋は狭くて陽当たりも良くはないが、個室である。こんなときは、余計に一人であることに救われた。

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