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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第6章 第二話 【めざめ】 再会

「あの、こちらは岩田先生の」
 言いかけると、床にも積み上げられていた本の山の向こうから、ぬっと人影が飛び出した。瞬間、愕きのあまり、幸は小さな声を上げるところであったが、危うくのところで呑み込んだ。
「ああ、失礼」
 黒縁メガネをかけた背の高い男であった。着物に袴という恰好だが、上から下までよれよれで皺だらけ、怖ろしくくたびれた印象を受ける。よほど身なりに構わない質(たち)らしい。その点、几帳面でお洒落な弥生とは性格は違うらしい。

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