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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第6章 第二話 【めざめ】 再会

「何か、ご用ですか」
 今日のこの時間、弥生の紹介で訪ねることは約束してあるはずだが、さては部屋を間違えたかと思った刹那、男は目の前にあった本の山に躓き、見事なまでの鮮やかさで転んだ。
「大丈夫ですか?」
 幸が慌てて助け起こそうとするのを、片手で制し「どっこらしょ」と立ち上がる。その様もお世辞にも俊敏そうには見えない。
「私は妹の弥生さんの友達で、瀬田幸といいます」

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