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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第6章 第二話 【めざめ】 再会

 既に亮平の妻ではない幸が瀬田姓を名乗るのもおかしかったが、今のところ、思いつく名前がこれしかなかった。
「ああ、弥生の友達ね」
 男は二十五、六といったところだろう、よくよく見れば、メガネの奥の眼も優しげな光を帯び、整った男前である。なのに茫とした印象を受けてしまうのは、その飄々とした人柄のせいに違いなかった。

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