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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第6章 第二話 【めざめ】 再会

 口づけは、普段の彼からは想像できないほど情熱的であったが、けして強引ではなかった。お腹がせり出してきた幸を気遣い、背の高い浩三は身を屈めるようにして口づけてきた。いかにも彼らしい優しさだ。幾度も口付けを交わす二人の側を、人力車が音を立てて走り去ってゆく。

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