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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第8章 第三話【波の音】 予感

~予感~

 そっと揺り籠を覗き込んだ幸(ゆき)の口許に微笑みが浮かぶ。揺り籠の中には、あどけない寝顔を見せて赤ン坊が眠っている。その時、部屋の扉が突然音を立てて開いた。
「お母さま、お腹空いた」
 無邪気な声が飛び込んできて、幸は振り向いて、唇に人差し指を当てた。
「幸太郎(こうたろう)、浩(ひろ)が眠っている間は静かにしなさいといつも言い聞かせているでしょう」

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