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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第8章 第三話【波の音】 予感

「ごめんなさい」
 幸太郎がしゅんとした。大好きな母に叱られるのが幼い彼には何より辛いのだ。幸は笑った。
「良いのよ。今度からは気をつけるのよ」
「はい」
 幸太郎は元気良く返事をする。幸が手許の呼び鈴を鳴らすと、ほどなく扉をノックする音が響いた。
「お呼びでございましょうか、奥さま」
 まだ若い女中(メイド)が部屋に来るなり畏まった。

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