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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第9章 第三話【波の音】 絶望の果て

 身体を奪われただけなら、手込めにされたのだ強制されたのだと言い訳もできる。だが、その手込めにされた男に身体中にをまさぐられる度に、身体をのけぞらせ歓びの声を上げていたのだ。その事実に対して、何の言い訳もできるはずがない。 
 幸は絶望のあまり、我を失っていた。着物を着ると、板の間をよぎり、そのまま土間に降り立った。最早、草履を履くことすら忘れて、裸足で外へ出た。一歩家の外へ出ると、波の音がひときわ近く押し寄せてくる。

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