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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第9章 第三話【波の音】 絶望の果て

 とろりとした海辺の空気をつんざくように、男の声が響いた。
「幸、幸ッー」
 それでも、幸は振り向こうともしない。ただ虚ろな眼差しを前に向けているだけだ。
「幸、待て、待つんだ」
 亮平が蒼白な顔で幸を追ってきた。亮平は自身が濡れるのも厭わず、海へ入り幸に迫った。

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