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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第9章 第三話【波の音】 絶望の果て

 幸は布団の上に上半身を起こし、ゆるりと視線を巡らせた。部屋の中は夜明け前の蒼ざめた静けさに満ちている。その気配に亮平が眼を覚ました。
「幸、気がついたのか」
 刹那、亮平の顔が歓喜に輝く。幸は茫とした視線を亮平に向けた。焦点の定まらぬ視線が次第に確かな像を結んでゆく。

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