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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第10章 第三話【波の音】 衝撃の真実

 一体、自分はどこまで落ちてゆくのか。「奈落の底」とよく言うけれど、どこまで堕ちても自分は底には辿り着かないような気がする。それほどに深い煉獄に堕ちる罪に囚われているのだと思うと、怖ろしさよりもやるせなさの方が先に立った。
 だが、怠惰な日々に浸りきっているのは幸だけで、亮平は昼間には海へ出てきちんと仕事をしている。採って帰った魚を自分で近くの町へと売りにゆくので、実は昼間は家を留守にしていることが多い。

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