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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第10章 第三話【波の音】 衝撃の真実

 一体何ものであろうかと幸が訝しんだ時、男が挨拶のつもりらしく、被っていた山高帽を左手ですっと取った。右手には、一輪の釣り鐘草を持っている。が、その男に花というのは、いかにも不似合いに見えた。
「これは、ご機嫌よう。あんたが亮平の情人(いろ)だって、村中の噂になってるひとかい。ホウ、これは美人だな。亮平の奴、こんな別嬪をどこからかっさらってきたんだ?」

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