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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第10章 第三話【波の音】 衝撃の真実

 迂闊だった。亮平が病魔に冒されているとは想像だにしなかった。それなのに、自分は我が身の哀しみばかりを思い、亮平の身体のことなど考えもしなかった。幸は唇を噛むと、亮平に言った。
「どうして、言って下さらなかったんですか。私ったら何も知らずに―」
 幸の言葉を遮るように、亮平が言った。
「そこまで卑怯者にはなりたくはなかったんだ」
「―?」

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