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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦

「あの方は?」
 幸が幸太郎に問うより前に、女性が進み出た。
「私は佐伯美登利と申しまして、幸太郎さんの家庭教師を務めさせて頂いております」
「家庭教師―」
 幸が呟くと、佐伯美登利と名乗った女性は淡く微笑んだ。笑うと少し淋しげに見えた印象が一変して華やかになる。落ち着いた物腰や話し方から老成して見えるが、間近で見ると、存外に若い。幸と年齢は大差ないだろう。

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