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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦

「どうやって、ここまで来たの。お父さまにはちゃんとお話して来たのですか」
 しゃがみ込んで幸太郎と同じ目線の高さになって話しかける。と、幸太郎が後ろを振り返る。
「美登利さんと来たの」
 幸太郎の視線の少し先に一人の女性がひっそりと佇んでいた。なかなかの美人で、ひそやかに咲いた一輪の白い花のようだ。派手やかさはないけれど、落ち着いた雰囲気の、感じの良い女性である。

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