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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦

「判りました。六時の列車に乗ろうと思いますので、少し前にまたここにお迎えに参ります。それでよろしいでしょうか」
 態度は丁寧だが、慇懃無礼で美登利の口調にはどこか棘がある。最初の好印象は薄れ、何か敵意のようなものさえ感じて、幸は不快であった。が、子どもたちが日頃世話になっている女性に、あからさまな不快感を示すこともできず、幸も丁重に応えた。

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