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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦

 大きな眼を更に丸くしている。どうやら、矢継ぎ早に訊ね、愕かせてしまったようだ。
 が、幸はもっともっと幸太郎について知りたいと思った。逢わなかった二年間の空白のすべてを埋めたいとさえ思う。
「お母さまの作った卵焼き」
 しばらく考えてから、幸太郎が応えた。
 普段の食事は殆ど料理人が作っていたが、幸もたまにこしらえることがあった。幸太郎は幸の焼いた卵焼きが何より好きだった。

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