テキストサイズ

空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第12章 第四話【縁~えにし~】 白き波の向こうに 

 わずかな静寂の後、浩三が唐突に言った。
「キスしても良いかな」
 幸はわずかに眼を瞠った。
 ふいに一つの記憶が蘇ってくる。
―キスしても良いですか。
 カフェーでのデートの帰り道、浩三から初めてプロポーズを受けた夜のことだ。浩三から突然、「キスをしても良いですか」と訊ねられた。愕いた幸はそれでも、ちゃんとそうやって浩三が幸の意思を尊重してくれたことが嬉しかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ