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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第3章 第一話【空の記憶】~邂逅~

 幸は真っ暗な闇の底にいた。
 辺りを見回しても、どこまでもぬばたまの闇一色に塗り込められた世界がひろがるばかりだ。懸命に手足を動かそうとするが、まるで金縛りにあったかのように身体が動かない。全くの闇の中に閉じ込められている恐怖に気が変になりそうだった。
―誰か、お願い。助けて! 私をここから出して!!
 声を限りに叫ぼうとしても、声が出ない。

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