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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第14章 番外編第一話「潮騒の詩」~海辺の恋~

「お前の名前は?」
「澪、濱崎澪(はまさきみお)」
 少女はひと言応えると、そのまま浜辺を駆け去った。亮平は茫然とその場に佇んで、少女の後ろ姿が見えなくなるまで見送った。
「濱崎―澪」
 彼(か)の麗しき少女の名を口ずさむ。濱崎といえば、村には一軒しかない。代々村長と網元を兼ねる濱崎家の現当主熊五郎は評判の頑固者だ。

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