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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第14章 番外編第一話「潮騒の詩」~海辺の恋~

 海からの風は潮の香りをたっぷりと含んでいる。亮平は水面に降り注ぐ夏の陽差しに眩しげに眼を細めた。瞼の奥に波と戯れる少女の姿が鮮烈に蘇る。月夜に男の心を惑わすという人魚のように美しい娘であった。
 潮騒がしきりに騒ぐ。亮平は眼を閉じて、波の音を聴き続けたが、彼の中から少女の面影が消えることはなかった。

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