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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第15章 番外編第一話【潮騒の詩】 月夜の契り

 亮平は溜め息をつきたくなった。
「お前の親父さんは網元の濱崎さんだろう?娘の澪の前で言うのも何だけど、濱崎さんは村でも評判の気難しい人だ。もう暗くなるっていうのに、こんな時分に俺のところに一人で来たなんて親父さんに知れたら、ただじゃあ済まないぞ」
「どいう風にただじゃあ済まないの?」
 澪が意地悪な顔で訊く。知らない中に澪の調子に乗せられていることに、亮平は気づかない。

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