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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第3章 第一話【空の記憶】~邂逅~

「澪―?」
 聞き慣れない名前だった。眼前の男がそう呼びかけるからには、自分の名は〝澪〟なのかもしれないけれど、全く馴染めない感覚がある。まるで一度も袖を通したことのない着物を初めて着たのに、〝よく似合っている〝と言われたような、そんな気分だ。
「私の名前、澪っていうんですか?」
 躊躇いがちに訊ねると、男は幾度も頷いた。
「そうだよ、お前の名前は澪だ」

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