空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第16章 番外編第一話「潮騒の詩」~海神の誓い~
亮平にも今夜、ここに呼び出しを受けた理由は判りすぎるほど判っている。どういう風に応えたら良いものかと思案していると、熊五郎が低い声で言った。
「俺が何も知らぬと思うてか、亮平。ようも、お前はうちの大事な娘を慰み者にして、辱めてくれたの。何も言えんその態度が何よりの証(あかし)じゃ。大方、世間知らずの小娘に面白半分に手を出しおったに違いなか。お前らのことは、村ではもうとうに知れ渡っておる。濱崎の家の娘は傷物になってしもうて、もう嫁の貰い手もないとな」
「俺が何も知らぬと思うてか、亮平。ようも、お前はうちの大事な娘を慰み者にして、辱めてくれたの。何も言えんその態度が何よりの証(あかし)じゃ。大方、世間知らずの小娘に面白半分に手を出しおったに違いなか。お前らのことは、村ではもうとうに知れ渡っておる。濱崎の家の娘は傷物になってしもうて、もう嫁の貰い手もないとな」