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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第17章 番外編第二話【薔薇ものがたり】~或る画家の絵~

 全体的に見て、ひょろ長いという印象があった。だが、整った容貌であり、切れ長の眼は優しげで、親しみやすい雰囲気だ。弥生はすぐに、この男の持つ雰囲気が兄とよく似ていると思った。
「あまり熱心に見ていたもので、つい我を忘れて夢中になってしまいました。どこか怪我などしませんでしたか」
 男が心底申し訳なさそうに言うのへ、弥生は微笑んで首を振る。

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