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　その時、一羽の小鳥が光円の前をよぎっていった。茶色の水鳥は水面に降りると、光円や織部のことなぞ頓着せず、悠々と水面に浮かんでいる。寺の庭によく遊びにくる水鳥は人慣れしていて、光円を見ても怖がらない。
ほどなくもう一羽の鳥が池の面に降り、二羽の水鳥は仲良く並んで、すべるように水面を泳いでゆく。
　織部がそのいかにも仲睦まじげな光景に眼を細めた。