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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第20章 番外編第三話【秘恋~背徳の恋~】 睡蓮の池 

 先刻は思案がまとまったと言っていたけれど、やはり襖絵のことについての苦悩が深いのだろうか。光円がにわかに不安に駆られて訊ねると、織部の眼差しがいっそう昏(くら)くなった。
「あなたは何もご存じない。その清らかさが私を苦しめる」
「―?」
 光円にはまた理解不可能な台詞であった。

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