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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第3章 第一話【空の記憶】~邂逅~

 蒼ざめた夜の中に、【澪】の泣き声が低く響き、やがて、それは次第に小さくなり止んだ。亮平は澪が泣き止むまで辛抱強く待った。
 その日、澪は初めて朝までぐっすりと眠ることができたのである。泣き疲れて眠る【澪】の顔を亮平は傍でじっと見つめていた。まだ、あどけなさすら漂わせる寝顔は安らかで、無防備であった。つい今し方、自分に襲いかかって手込めにしようとした男に対して、何の警戒心も抱(いだ)くことなく安らいだ眠り顔をさらしている。

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