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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第21章 番外編第四話【轍~わだち~】

 祖母の手には淡い紫色の紫陽花が二本握られている。
「晶、久しぶりねえ。しばらく見ない間にまた、大きくなって」
 祖母が眼を細める。
「いやだわ、私、もう十八になるのよ。いつまでも子ども扱いしないで」
 晶は心もち頬を膨らませる。祖母にとって、十八歳の孫娘はいつまでも幼いときのままらしい。

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